廣内 大成

提供:林 康紀研究室
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略歴

  • 2015年 大阪大学 薬学部 薬科学科 卒業(神経薬理学分野、橋本均 教授)
  • 2017年 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 修士課程 修了(ゲノムシステム医科学分野、菅野純夫 教授)
  • 2017-2019年 理化学研究所 大学院生リサーチ・アソシエイト(発生神経生物研究チーム、御子柴克彦 シニアチームリーダー)
  • 2020-2022年 日本学術振興会 特別研究員DC2 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 病態医療科学分野、内丸薫 教授)
  • 2022年 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士課程 修了(病態医療科学分野、内丸薫 教授)、博士(医科学)取得
  • 2022年- 京都大学大学院 医学研究科 特定研究員(システム神経薬理学分野、林康紀 教授)

これまでの研究テーマ

化合物スクリーニングを用いた機能未知因子p13の機能解析

ミトコンドリアタンパク質FMC1のホモログタンパク質である機能未知因子p13 は、糖尿病下の膵島で保護因子として働く可能性があることが報告された一方で、その機能は未だ明らかでない。そこで、偏りのない化合物ライブラリーを用いてp13 mRNAの発現を制御する化合物を探索することで、その機能的役割を明らかにすることを試みた。このスクリーニングの結果、心毒性を持つ化合物によりp13のmRNA発現が減少したことから、p13の発現が心臓で最も高く、心疾患ではその発現が典型的に低下することを見出し、p13が心臓のストレス応答に関わる重要な因子であることを明らかにした [1]

脊髄小脳変性症29型家系より新たに発見したIP3R1ミスセンス変異によるCa2+シグナルの変化

タイプ1 型イノシトール3 リン酸受容体 (IP3R1) は、細胞内のカルシウムイオン (Ca2+) 貯蔵部位である小胞体の膜上に存在するCa2+チャネルである。近年IP3R1と疾患との関連として、脊髄小脳失調症 (spinocerebellar ataxia (SCA)) 15/16型および29型の発症家系からIP3R1遺伝子のミスセンス変異が報告されている。我々は、SCA29型発症家系より新たなミスセンス変異であるp.Arg36Cys変異を同定した。この変異はIP3R1の5つの機能ドメインのうちサプレッサー領域内に初めて発見されたSCA29病因変異であった。Arg36Cys変異がIP3R1チャネル特性に及ぼす影響について解析した結果、ヒトIP3R1へのIP3の結合親和性を有意に増加させ、Arg36Cys変異体を発現させた細胞では、細胞内Ca2+シグナルの特性が一過性から持続性に劇的に変化することを見いだした。これまで報告されていたSCA29関連IP3R1変異は、Ca2+放出を減少させる機能喪失型の影響を示す。本結果は、SCA29に関連するIP3R1変異で初めて機能獲得型の影響を報告するもので、Ca2+放出の亢進がSCA29の病因に寄与する可能性について新たな知見を提供した[2]

成人T細胞白血病リンパ腫 (ATL) 症例で異所性に発現する電位依存性Ca2+チャネルによる細胞内Ca2+シグナルへの影響解析

成人T細胞白血病リンパ腫 (Adult T-cell Leukemia-lymphoma : ATL) は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型 (Human T-cell Leukemia Virus type 1 : HTLV-1) 感染が原因の難治性造血器腫瘍である。近年、成人T細胞白血病(ATL)患者の網羅的な遺伝子解析により、ATLにおける遺伝子異常は、T細胞受容体(TCR)シグナル伝達系に高度に集積していることが報告された。 TCRシグナル伝達系は細胞内カルシウムイオン濃度の変化(Ca2+シグナル)に依存して制御されているが、ATLにおける細胞内Ca2+シグナルの実態やその制御機構は明らかにされていない。 Ca2+シグナルに影響を与える遺伝子について、ATL患者とHTLV-1キャリアの感染細胞RNA-seqデータから遺伝子発現プロファイルを行った結果、電位依存性Ca2+チャネルであるCav3.2がATL患者、特に急性型ATLで高発現していることを見出した。 細胞膜電位の脱分極によって細胞外からCa2+を流入させるCav3.2は、通常、筋肉などの興奮性細胞で発現し、正常CD4陽性T細胞では発現していない。したがって、ATL症例におけるCav3.2の発現は異所的かつ特異的であった。異所性に発現するCav3.2が細胞内Ca2+恒常性やCa2+シグナルに与える影響を解析した(未発表データ)。

シナプス後膜肥厚に存在するFAM81Aの機能解析

シナプス後膜肥厚 (postsynaptic density (PSD)) に局在するFAM81Aは、PSDプロテオームデータセットから繰り返し検出されたことから、最も主要なPSDタンパク質の一つと考えられる。しかし、その機能や特性は未だ明らかでない。我々は最近、精製したマウスFam81aがPSD-95、SynGAP、NMDA受容体などのPSDタンパク質と液液相分離を起こし、これらのタンパク質の濃縮相形成を促進することを明らかにした。この結果より、FAM81AはPSD内のタンパク質の集合を促進する新しいシナプスタンパク質であることを明らかにした[3]

論文リスト

  1. Inoue, N., Hirouchi, T., Kasai, A., Higashi, S., Hiraki, N., Tanaka, S., Nakazawa, T., Nunomura, K., Lin, B., Omori, A., Hayata-Takano, A., Kim, Y.J., Doi, T., Baba, A., Hashimoto, H., & Shintani, N. (2018).
    Unbiased compound screening with a reporter gene assay highlights the role of p13 in the cardiac cellular stress response. Biochemical and biophysical research communications, 495(2), 1992-1997. [PubMed:29180011] [WorldCat] [DOI]
    (廣内は共同筆頭著者)
  2. Casey, J.P., Hirouchi, T., Hisatsune, C., Lynch, B., Murphy, R., Dunne, A.M., Miyamoto, A., Ennis, S., van der Spek, N., O'Hici, B., Mikoshiba, K., & Lynch, S.A. (2017).
    A novel gain-of-function mutation in the ITPR1 suppressor domain causes spinocerebellar ataxia with altered Ca2+ signal patterns. Journal of neurology, 264(7), 1444-1453. [PubMed:28620721] [WorldCat] [DOI]
    (廣内は共同筆頭著者)
  3. Kaizuka T, Hirouchi T, Saneyoshi T, Hayashi Y, Takumi T. (2023)
    DRACC1, a major postsynaptic protein, regulates the condensation of postsynaptic proteins via liquid-liquid phase separation. bioRxiv.

所属学会

  • 日本神経科学学会
  • 日本神経化学会
  • 日本HTLV-1学会

連絡先

〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町
京都大学大学院医学研究科 システム神経薬理分野 A棟404号室
電子メールアドレス:hirouchi.taisei.3c@kyoto-u.ac.jp
075-753-4393 (内線:84635)

外部リンク